中世の街並みを残し、ルネサンス期には塩の交易で栄え、
その後ワインやブランデーの生産地として発展していった、フランスの美しいコニャック地方。
文豪ユーゴーに「まさに神々の美酒」と賞賛されたコニャック。
上質で洗練された味わいと馥郁とした芳香を凝縮させるため、2度蒸留され、
オーク樽の中で2年以上ゆっくりと熟成されていくコニャック。
そのコニャックの代名詞ともいわれ、多くの人々に愛されるブランデーメーカー「レミーマルタン」の歴史は、
1724年に才能あふれる若きワイン醸造家、レミー・マルタンその人が創設したことにより始まります。
彼の製造するコニャックの質は群を抜いており、時のフランス国王さえもうならせることになります。
1738年には、当時ブドウを新しく植えることが禁じられていたにもかかわらず、
ルイ15世から例外的な作付の許可を取りつけています。
1830年には、最初のレミーマルタン・グランド・シャンパーニュ・コニャックが世に送り出されました。
また、現在のレミーマルタンのボトルのシンボルマークには、ケンタウロスの姿が描かれていることが印象的ですが、
これが採用されたのが1870年のこと。
これには当時の経営者ポール・エミール・レミーマルタンが射手座であったからとも、
ケンタウロスが神話において酒に関係していたからとも、
半人半馬のケンタウロスは人と自然の調和をあらわすから、ともいわれ、諸説が存在するようです。
そして1898年、この年にレミーマルタンを象徴するVSOPの原型となるクープ・フィーヌ・シャンパーニュが生まれました。
このときのエピソードには、同社には長年注意深く受け継がれ、熟成させられてきた秘蔵のブランデーがあったのですが、
それがついに開けられ試飲したところ、そのあまりの滑らかさと芳醇な芳香がつよい衝撃をあたえた、というものがあります。
VSOPの特徴は、「熟成と力強い香りの完璧なハーモニー」と形容されます。
熟した桃とアプリコットのフルーティさ、スミレのような香りが感じられ、ヴァニラや甘草の芳醇さを楽しむことができます。
すべてのバランスが「完璧」なのです。
その後20世紀初頭から、ロシア、中国、アメリカへと進出をすすめ、1927年にレミーマルタン・ファイン・シャンパーニュ・コニャックを販売すると、
そのすぐれた品質に、即時に人気が沸騰し、大成功となりました。
また、ブランデーの製造には、その原料となるブドウを育てる土壌というものが重要な要素を占めているのですが、
コニャック地方の心臓部とまでいわれ、最も品質が最良であるグランド・シャンパーニュとプティット・シャンパーニュ、
この2つの地区の原酒のみをブレンドして使用すること、という重要な決定が、1948年になされます。
1972年には現在でも親しまれる、つや消しのブラック・ボトルを採用。
1981年にはXO エクセレンスを発表。これもレミーマルタンを代表する銘柄のひとつです。
レミーマルタンは、常にワイン生産者とのパートナーシップを第一に考え、
常に最良のブランデーの製造に力を注いでいるといいます。
凝縮された香り、豊かな味わいとコク。
静かな夜にゆったりとリラックスして、至福の時間を堪能したいものですね。